電源ユニットの重要性

選び方とおすすめメーカー

PCを構成するパーツの中でも、電源ユニット(PSU)は見落とされがちですが、すべてのパーツに電力を供給する重要な役割を果たしています。不適切な電源ユニットを選ぶと、PCのパフォーマンス低下や故障の原因になることもあります。この記事では、電源ユニットの選び方や重要な要素、そしておすすめのメーカーについて解説します。

Contents


1.電源ユニットの役割

電源ユニットは、すべてのパーツに適切な電力を供給するためのデバイスです。コンセントから供給される交流電力(AC)をPCが使用可能な直流電流(DC)に変換します。

なぜ電源ユニットが重要なのか?

  • 安定性:電力供給が不安定だと、パーツの故障やパフォーマンス低下につながります。
  • 寿命への影響:高品質な電源ユニットはパーツの寿命を延ばす可能性があります。
  • 安全性:過電圧保護(OVP)や過電流保護(OCP)などの機能があると、異常時のダメージを防げます。


2.電源ユニットの重要な要素

電源ユニットを選ぶ際に注目すべき主な要素を以下にまとめます。

(1)定格出力(W数)

定格出力はPCが最大負荷で動作する際に必要な電力をカバーできるようにする必要があります。

一般的な目安

  • オフィス用途のエントリーモデル:300~500W
  • ミドルレンジ相当のゲーミングPC:500~750W
  • ハイエンドの高性能GPU使用:750W以上

以上が大体の目安です。実際にはCPU・GPUのスペックが大きく影響してきます。必ず確認してから電源ユニットのW数が上回るようにしておきましょう。

(2)80 PLUS認証

電源ユニットの変換効率を示す国際規格で、効率の高さをランク付けしています。高い効率は電力ロスを減らし電気代の節約や発熱の低減につながります。

認証の仕組み

80 PLUS認証は、電源ユニットが負荷率20%、50%、100%の条件下で一定の効率を達成する必要があります。

グレードの詳細

負荷率に対してどのくらいの電力効率を出すのかを各グレードごとにまとめたものが次の表になります。

グレード負荷率10%負荷率20%負荷率50%負荷率100%
Standard80%80%80%
Bronze82%85%82%
Silver85%88%85%
Gold87%90%87%
Platinum90%92%89%
Titanium90%92%94%90%

・負荷率が低すぎても高すぎても最大効率が出ない(50%周辺っぽい?)
・負荷率によって効率が急激に落ちるわけではない

効率が重要な理由

  • 低発熱:効率が高いほど電力ロスが減少し、発熱を抑えられます。
  • 電気代の節約:効率的な電力供給により消費電力を抑えられます。
  • 環境負荷の軽減:電力消費が少なくなるため、エネルギー資源の節約につながります。

(3)保護回路の種類

数が多いのと似通っていて覚えにくいためここでは覚えなくて結構です。必要になったときに当サイトでなくてもいいので、参照することで商品の違いを判断できるようになりましょう。

電源ユニットには、システム全体を守るための様々な保護回路を搭載されています。これらはパーツの寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐ重要な機能です。

必須の保護機能

OVP(Over Voltage Protection / 過電圧保護

  • 出力電圧が規定値を超えた場合に自動で電力を遮断します。
  • 高電圧が原因でパーツが破損するのを防ぎます。

OCP(Over Current Protection / 過電流保護)

  • 流れる電流が許容量を超えた場合に動作します。
  • ショートや異常負荷によるダメージを軽減します。

UVP(Under Voltage Protection / 電圧低下保護)

  • 電圧が一定値以下に落ち込んだ場合に動作します。
  • 不安定な電圧による誤作動や損傷を防ぎます。

SCP(Short Circuit Protection / 短絡保護)

  • 電源ユニットや接続機器間でショート(短絡)が発生した際に即座に電力供給を停止します。

OTP(Over Temperature Protection / 過熱保護)

  • 電源ユニット内部の温度が高温になりすぎた際に動作します。
  • 温度以上による火災や故障を防止します。

その他の保護機能

OPP(Over Power Protection / 過負荷保護)

  • 定格出力が越える負荷がかかった場合に動作します。
  • 過負荷が原因でパーツや電源ユニットが損傷するのを防ぎます。

SIP(Surge Inrush Protection / 突入電流保護)

  • 電源をオンにした瞬間に発生する高電流(突入電流)を抑制します。
  • 突入電流が原因で回路がダメージを受けるのを防ぎます。

NLO(No Load Operation / 無負荷運転保護)

  • 負荷がかかっていない状態での運転を防ぐ機能です。
  • 無負荷運転は電源ユニットの故障原因となる可能性があるため、その状況を回避します。

BOP(Brown Out Protection / 電圧降下保護)

  • 電源電圧が短時間低下した場合に対応します。
  • 電圧降下による不安定な動作を防ぎ、システムの安全を確保します。

NLP(No Load Protection / 無負荷保護)

電力供給が行われない場合でも動作を抑制し、電源ユニット自体の損傷を防ぎます。

ALP(Active Line Protection / ラインアクティブ保護)

ライン間の過負荷やノイズを軽減し、安定した電力供給を確保します。

(4)ケーブルの種類

  • フルモジュラー:すべてのケーブルが取り外し可能。
  • セミモジュラー:一部のケーブルが固定、一部が取り外し可能。
  • 固定ケーブル式:すべてのケーブルが固定。

ケーブル管理が簡単なフルモジュラータイプが推奨されます。ですが、ここは完全に好みかコスパで選んでも大丈夫です。

(5)サイズ(フォームファクタ)

ATX

  • 最も一般的な規格で、フルタワーやミドルタワーケースに対応。
  • 高性能なモデルが多く、拡張性に優れます。

SFX

  • 小型PC向けの規格で、Mini-ITXケースに最適。
  • 高効率かつ静音性の高いモデルが主流。

SFX-L

  • SFXの拡張バージョンで、より高出力を求める場合に最適。
  • 小型PCでもハイパフォーマンスを実現可能。

TFX

スリム小型PC向けの規格で、デスクトップ型やスモールフォームファクタ(SFX)ケースに使用。

Flex ATX

超小型PCケース向けで、省スペース性を重視。

1U / 2U(ラックマウント型)

サーバー用途に最適化されたサイズで、ラックマウントケースに対応。

PCケースの対応フォームファクタを確認し、ケースに適した電源ユニットを選びましょう。

(6)静音性

ファンが搭載されているモデルでは、動作音の静音性が重要です。

高品質モデルでは低負荷時にファンが停止する機能が搭載されている場合があります。

(7)保証機関とサポート体制

  • 信頼性の高い電源ユニットは、5~10年の長期保証が付属している場合があります。
  • 保証が充実しているメーカーを選ぶことで、トラブル時の対応も安心です。


3.電源ユニットの選び方

(1)使用する構成に応じたW数を選ぶ

構成を決めると、PC全体の消費電力が定まります。なら電源の容量はそれ以上なら何でもいいのでしょうか?と思う方もいるかもしれません。どのくらいを目安にすればよいかここでは簡単に示したいと思います。 

80 PLUS認証についてのところで確認したように、負荷率50%付近で電力効率が高くなると認識していただけているかと思います。実際には50~70%程度の負荷率で効率的に動作する場合が多いです。

上記のことと最大負荷時の安全マージンを考えて、PC全体の消費電力から20~30%の余裕を持たせた電源ユニットを選ぶのが良いでしょう。

(2)将来のアップグレードを考慮

GPUやCPUをアップグレードする予定がある場合、余裕を持ったW数を選びましょう。

(3)80 PLUS認証を基準に選ぶ

  • 一般的な用途:80 PLUS Bronze以上
  • ゲーミング用途など:80 PLUS Gold以上

長時間負荷がかかるような用途で用いる場合は、グレードが高いほどパーツへの負荷や電力の消費が抑えられるため高グレードのものの方が好ましいです。

(4)信頼性の高いメーカーを選ぶ

高品質なコンポーネントの使用

信頼性の高いメーカーは、電源ユニットに高品質なコンデンサやトランスを使用しており、安定性と寿命が向上します。

豊富な保護機能

過電圧保護(OVP)や過電流保護(OCP)など、必要な保護機能がしっかり備わっているか確認しましょう。

保証期間の長さ

5~10年の長期保証を提供しているメーカーは、製品の品質に自信がある証拠です。

ユーザーの批評とレビュー

購入前に、実際のユーザーからの評価やレビューを確認することが重要です。


4.おすすめの電源ユニットメーカー

(1)Seasonic

  • 高品質で信頼性が高い。
  • 長期保証付きモデルが多い。

(2)Corsair

  • フルモジュラータイプが豊富。
  • 80 PLUS Gold以上のモデルが人気。

(3)Cooler Master

  • コスパの良い製品が多い。
  • エントリーモデルからハイエンドモデルまで幅広く展開。

(4)EVGA

  • ハイエンドPC向けのモデルが充実。
  • 80 PLUS Gold 以上がメイン。

(5)FSP

  • OEMメーカーとしても知られる。
  • コストパフォーマンスが高い製品を提供。


5.まとめ

電源ユニットは、PC全体の安定性や寿命に大きな影響を与える重要なパーツです。適切な製品を選ぶことで、システム全体の性能を最大化し、故障リスクを最小限に抑えられます。

  • 使用構成に合ったW数を選ぶ:できれば20~30%のマージンを
  • 80 PLUS認証の効率グレードを確認:効率の高いモデルは故障予防にもなります。
  • 信頼性の高いメーカーを選ぶ:保証機関や保護機能、実際のレビューを参考にして選びましょう。

電源ユニットは、PC全体を支える「縁の下の力持ち」です。妥協せず、自分の用途や予算に合った最適な電源ユニットを選び、快適で安全なPCライフを楽しんでください!

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